3等に落ちたわさび

 台所で恵方巻を食べていた夕食時、白い器のできるだけ端の方にわさびを少し出そうとしてわさびチューブのお尻の方を軽く握った。小指の爪の大きさにも満たないくらい少量のわさびが顔を出したので、私はこれ以上強く握るのを止めてチューブを振った。わさびは皿の下に敷かれた新聞紙に落ちた。私はわさびを見つめた。落ちた先には「3等(5万円)下4ケ…」と書かれていた。私は箸を持ち、落ちたわさびを挟んで口に入れた。辛かった。恵方巻を頬張った。

 わさびが皿でなく新聞紙に落ちてしまったのは残念だったが、広い紙面の3等と印字された箇所に落ちたのはなんだか少しうれしい気がした。

2022/02/03(木) 19:54

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