橋の上から。

橋の上にぼーっと立っていた。下を川が流れている。土手には枯草が複雑に絡み合っている。

枯草から、がさがさと音が聞こえた。目を凝らすと茶色いなにかが素早く間を縫って行った。イタチのように見えた。頭部に黒い毛があった。

きっと人間は踏み入れられない枯草の中を、イタチはするりするりと、すり抜けて移動していった。

何を食べているのだろうとか、どうやって生きているのだろうとか、そんなことを考えた。たくましいなと思った。近くにはスズメがいたから、スズメを食べるのかなとか。どこに寝ているのかなとか、寿命はどのくらいかなとか、そんなことを考えた。

しばらく目で追っていたけれど、行方は分からなくなってしまった。

曇り空、風が冷たい。

イタチを見て、少し励まされたような気持ちになった。

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